事業再構築補助金の今後と、2024年注目の補助金

コロナが収束した昨今、もともとコロナ対策としてはじまった「事業再構築補助金」は一定の役割を終えつつあると認識されており、大幅な見直しが予定されています。そのため昨年10月以降、新たな公募が長らくストップしている状況です。一方、公募再開に関するリーク記事などもチラホラと出てきました。当社では、4月下〜5月上旬に第12回公募が開始されると予想しています。 (※追記:2024年4月23日より公募が開始されました)
2024年度の補助金シーズンはこれからが本番。そこで事業再構築補助金の動向や、その他の新たな補助金の動向について、少しまとめてみたいと思います。

事業再構築補助金はいつまで続く?

事業再構築補助金の予算は「中小企業等事業再構築促進基金」に積み立てられ、複数年にわたって運用されてきました。その総額は総額2.4兆円、そのうち1.8兆円が支出済みであることがわかっています。
したがって予算残額はおよそ6000億円程度と予想できるのですが、そのうち4000億円は新たな補助金「省力化投資補助金」に転用されることが決まっているため、「事業再構築補助金」に使える実質的な予算額は2000億円弱。これはおよそ公募2回分であり、これを使い切った時点で基金は廃止されると思われます。したがって、事業再構築補助金は2024年度をもって終了する可能性もあります。

ただし「補助金」という制度自体がなくなるわけではありません。国の補助金は今後おそらく、比較的手軽に申請できる汎用的な補助金と、国の経済政策に直結する目的特化の大型補助金とに両極化し、補助金制度自体が再構築されていくと思われます。
(ちなみに経済産業省・中小企業庁による補助金のほかに、都道府県などが実施する補助金・助成金もたくさんありますが、話が長くなるので今回は割愛します)

過去には、実現可能性の低い計画も採択されていた

事業再構築補助金は、もともと「コロナで苦しむ企業の緊急支援」という位置付けであったため、この補助金が開始された当初、採択の審査基準は比較的ゆるく設定されていたように思います。「事業計画がイマイチでも、やる気がある企業はみんな採択される」という感じでした。

その結果、もともと事業戦略や事業開発等が専門ではない・あるいは無資格の事業者が、新たな食い扶持として補助金コンサルを名乗り、それっぽい事業計画を作って、運よく採択されたら高額な成功報酬を受け取り、その後の事業はサポートしない、といった低品質・無責任な補助金申請の代行事業者が増えました。
そのような代行事業者に焚きつけられて、また補助金の金額に釣られて新たに事業を始めたものの、思ったように事業が立ち上がらず、うまく回っていない企業はとても多いです。

ですが、補助金で始めた事業は原則3〜5年はやめられない。もしやめる場合は、補助金の全額または一部を返還しないといけないため早期の撤退をしづらく、赤字の垂れ流しが続くことになります。
実際、補助金で始めた事業がうまく回っていない企業等からの経営改善に関する相談が、最近増えています。

難易度は上昇傾向・計画品質が重要

そのような背景もあって、昨年11月に行われた行政改革推進本部の行政事業レビュー「秋の行政レビュー」では同補助金の「廃止」も提言されていましたが、「今後は審査を厳格化する」ということを前提に、ひとまず存続する方向となった模様です。

実際、審査方法の見直しが行われた第11回公募の採択率は26.4%と非常に厳しい水準となりました。1つ前(第10回公募)の採択率は48.1%ですから、これまでに比べて審査がかなり厳格化されているようです。

また、今後はAIを活用して類似申請を弾く仕組みなども整備していくとのことです。おそらく他の申請書をコピペして作ったようなものは審査の早い段階で弾かれるようになります。事業計画には、企業の特色を活かしたオリジナリティや、実行可能性の高さがより一層求められることになるでしょう。

しかしこれはポジティブに考えるべきです。「小手先のテクニックではなく、優秀で実現性の高い事業計画が、正当に評価されるようになる」ということ。おそらくコロナ期に乱立した低品質・無責任な「自称コンサルによる補助金支援事業者」は淘汰されていくと思われます。

逆説的ですが、中小企業向けの汎用的な補助金で採択されるのは、「補助金がなくても成功する」ような事業計画だったりします。「もし補助金が取れなくても、この事業はぜひやりたい」と思える計画。優秀な事業計画とはそういうものです。
これから補助金申請にチャレンジされる事業者様は、机上ではなく実務サポートの経験も豊富な実力ある支援機関を選ぶことが重要です。 実現性・成功確率の高い事業計画を、支援機関と一緒にしっかりと練るようにしましょう。

2024年度は、新たな補助金にも注目

補助金の財源は補正予算によるもの。昨年までは、主に「コロナ対策」「DX」「グリーン成長」という政策実現をテーマとして補正予算が組まれていました。
一方、令和5年度補正予算では「コロナ対策」というワードは消え、代わりに「省力化・省人化」が大きなテーマのひとつとなっています。深刻な人手不足に悩む中小企業に対して「省力化」という解決策を示し、経済構造の転換を促すことや、過度な労働集約からの脱却により1人あたりの賃金をアップさせるという政策上の狙いがあるようです。

2024年1月から始まった「ものづくり補助金・省力化枠」のほか、3月に開始された「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」、4月から新たに始まる「中小企業省力化投資補助金」など、多くの補助金に「省力化」というキーワードが織り込まれています。

では「省力化投資」とは具体的にどのようなものか。いくつかわかりやすい例を挙げると…
たとえば、製造業なら「ロボットアーム」や「マシニングセンタ」などによる生産の自動化、建設土木なら「レーザー測量」や「MG/MC機能付きショベルカー」、物流なら「自動倉庫」や「検品・仕分システム」、飲食店なら「スチームコンベクションオーブン」や「配膳ロボット」などなど。
「省力化・生産性向上につながる」と言える取り組みであれば概ね何でも当てはまり、それらの設備投資について、何かしらの補助金を活用できる可能性があります。

貴社が使える補助金は?

中小企業が活用できる補助金は、本記事でご紹介したものだけではありません。全国には自治体の補助金を含めると数千種類の補助金があり、複数の補助金を併用することが可能です。

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実際にどのような補助金や助成金を使えるのか、以下の診断ツールを使って、かんたんに調べることができます。ご関心のある方はぜひ試してみてください。

補助金診断システム

補助金の活用について、まずはご相談ください

当社では、お客さまのご状況を詳しくヒアリングさせていただいたうえで、「最適な補助金」をご提案しております。補助金の活用をお考えの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
なお、既存事業のご状況や、新規事業の構想内容によっては、あえて補助金を使わない方が良いケースもあります。その場合は無理なご提案はいたしませんのでご安心ください。
(税の減免や低利融資など、補助金以外にもさまざまな中小企業向けの支援制度がありますので、補助金の代わりにそれらを提案させていただく場合はあります)

当社にはさまざまな経験・ノウハウをもったコンサルタントが多数所属しており、きっとみなさまのお役に立てると思います。

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渡邊 太郎(わたなべ たろう)

グルーヴィット株式会社 代表取締役 / 中小企業診断士 / 認定経営革新等支援機関

腑に落ちる事業計画を策定・推進する独自メソッドを武器に、事業をドライブさせる支援を行なっている。ものづくり補助金・事業再構築補助金の申請支援では52連勝。会社員時代はBtoBサービス企画、アライアンス、プロモーション等のチームを率い、新規ビジネスの立ち上げに必要なノウハウを網羅している。

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